農林水産省発表のデータを集計し、漁師の年収・収入状況を掲載しています。
漁師の年収
平均年収:207万円
※沿岸漁業
個人経営
漁師の年収・収入について
漁師とは
漁師とは川や海に出て魚を捕り、魚市場に出荷してお金を稼ぐ事を生業とする職業です。
漁業には大きく分けて3つの種類があります。
【沿岸漁業】
近場でおおむね数時間程度の漁を行う。
従事している人が一番多い漁業。
サバやアジなど小規模な漁業。
【沖合漁業】
200カイリ水域の漁場で漁を行う。
サンマ・サケ・マス・イカなど。
沿岸漁業と遠洋漁業の中間規模の漁業で1日から1ヵ月くらいの期間、漁に出る。
【遠洋漁業】
数ヶ月から1年ほど世界各地に漁に出かける。
その間はほとんど船上で生活する。マグロ漁船が有名。
カツオ・マグロなど。
漁師になるには
漁師になるために必要な資格や学歴はありません。
やる気さえあれば、体一つでなる事が可能ですが、朝が早かったり、寒さであったり、船酔いに耐えたりと漁は厳しく、相当な根性が無いと務まらないといいます。
全国的に漁師の高齢化が進んでいるため、若い人材が常に求められています。
なるためには主に2つのルートがあります。
1.漁師として雇用される。
漁業を営む会社や個人に雇われる事で漁師として働く事ができます。
人脈やコネの無い人はまずはどこかで働かしてもらい、経験を積んでいくのが一般的です。
こちら[漁師.jp]のウェブサイトに求人情報が掲載されています。
2.個人で漁師となる。
漁師になるために必要な免許はありませんが、漁に出るために必要な免許はあります。
個人で漁師になるには漁に出る事を認めてもらう「漁業権」が必要です。
漁業権は乱獲の防止など漁場と漁師の生活を守るために設定されているもので、これがないと漁に出る事ができないため、なんらかの手段で権利を獲得する必要があります。
ただ、現地の漁協などの関係者であったり、現地で漁師に弟子入りして働くなど何らかの強いコネクションがない限りは権利を取得する事は難しいでしょう。
現地の漁師を守るために、簡単には参入を認めてくれない所がほとんどです。
女性の漁師について
女性が漁師として働いているケースも極まれにありますが、サポート的な役割を担当している人がほとんどで、男性同様に働ける漁師になることは極めて難しいでしょう。
ほとんどの仕事が体力仕事になるため、女性には向いていない職業です。
また、海の神様は女性らしく「女性を船に乗せると嫉妬して海を荒れさせ沈没させられる」という言い伝えが古くからあり、縁起の良くない行為として女性を船に乗せる事を嫌う漁師さんも少なくないそうです。
収入について
漁師は自然を相手に仕事をしています。
漁獲高に応じて収入は上下するため、収入は不安定になりがちで漁師という職業に安定を望むのは難しいでしょう。
農林水産省発表の統計で「沿岸漁業」の収入状況が掲載されています。
※個人経営体
平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | |
---|---|---|---|---|
事業所得 | 220万円 | 221万円 | 233万円 | 207万円 |
漁労所得 | 206万円 | 203万円 | 204万円 | 189万円 |
漁労収入 | 586万円 | 608万円 | 614万円 | 595万円 |
漁労支出 | 380万円 | 404万円 | 410万円 | 406万円 |
漁業での収入を表す「漁労所得」は平成25年についに200万円を割り込み100万円台へと減少してしまいました。
平均所得が200万円程度と漁業の厳しい収入状況を表すデータとなっています。
漁での収入以外に漁労外事業所得というものがあります。
これは水産加工業や民宿の経営によるものがメインで、漁師のもう一つの収入源として重要なものになっています。
「事業所得」-「漁労所得」で計算でき、平成25年では約18万円の収入になっています。
沿岸漁業がメインの会社や個人のもとで働く場合は、基本給20万円程度に漁獲高に応じた歩合給や各種の手当てが支給される位でやはり年収は200万円~300万円の間に収まりそうです。
中には景気の良い漁場も
一般的な沿岸漁業では上記の様に芳しくない平均年収ですが、安定して高い利益を出し続けている地域もあります。
代表的なものにオホーツク海のホタテ漁があります。
ホタテ漁が盛んな猿払村では豊漁の結果によって村全体の所得が大きく増加し全国の所得ランキング上位にランクインするほどの水準にまで上昇しました。
人口3000人に満たない北海道の外れの村が首都圏や関西圏の有名都市と肩を並べるほどの驚くべき所得(626万円)になっています。
その他にもタコ漁やカニ漁などの特産地であったり、希少価値の高い魚の漁の場合は安定して高収入を得やすいようです。
遠洋漁業の場合
1ヵ月から長い場合は年単位で漁に出る事もある遠洋漁業の場合は、その仕事内容と稼働量からそれ相応の収入が担保されています。
遠洋漁業として有名なマグロ漁の場合であれば新人クラスで400万円前後、船長クラスで800万円前後、トップの漁労長であれば1000万円以上の年収が支給されると言います。