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キャリア官僚とは国家公務員採用総合職試験に合格後、霞ヶ関にある省庁に採用された国家公務員のことをいいます。
キャリア官僚という名称で採用が行われている訳ではなく、いわゆる俗称になります。
登用・採用システムがキャリアシステムを採用しているため、そこから起因してそのような呼ばれ方が定着しました。
人事院発表データ、取材、関連書籍などによりトップエリート公務員であるキャリア官僚の年収データを掲載しています。
キャリア官僚の年収
22歳
年収350万円
40代課長
年収1200万円
事務次官
年収2400万円
キャリア官僚とは
キャリア官僚になるには
キャリア官僚になるには難関の国家公務員総合職試験(国の幹部候補を採用する試験)を受験して合格する必要があります。
合格後は「官庁訪問」と呼ばれる面接試験を経て、霞ヶ関の各省庁から採用を得る事ができれば、国家公務員(キャリア官僚)として働く事ができます。
国家公務員総合職試験の合格率
国家公務員総合職試験の難易度は公務員試験の中でも最難関です。
申込者数ベースの合格率は6.6%と日本の試験の中でもトップクラスの難易度です。
試験の区分 | 申込者数 | 最終合格者 | 倍率 |
院卒者試験 | 2181人 | 639人 | 4.0 |
大卒程度試験 | 17428人 | 1254人 | 14.5 |
合計 | 19609人 | 1797人 | 11.0 |
2018年国家公務員採用総合職試験の大学別合格者数と試験の難易度は?
順位 | 大学名 | 合格者数 |
1 | 東京大学 | 329人 |
2 | 京都大学 | 151人 |
3 | 早稲田大学 | 111人 |
4 | 東北大学 | 82人 |
4 | 慶應義塾大学 | 82人 |
6 | 北海道大学 | 67人 |
7 | 大阪大学 | 55人 |
8 | 中央大学 | 50人 |
9 | 神戸大学 | 48人 |
10 | 岡山大学 | 45人 |
11 | 東京理科大学 | 43人 |
受験者の出身校は東京大学が群を抜いて多く329人、次に京都大学が151人と日本のトップ大学2校で4分の1近い割合を占めています。
この結果からもわかるように、合格者層のクオリティは公務員試験の中でも、もっと言えば日本の数ある試験の中でもトップにあげられるほどの試験難易度です。
また、上記の数字はあくまでも合格者数であって、ここから更に「官庁訪問」(採用面接みたいなもの)が行われ、上記の合格者1797人のうち、実際に採用される予定数は739人(約41%)です。
基本的には成績上位者から採用が決まりやすく、学力の高い東京大学や京都大学の受験者がより高い割合で採用される傾向にあります。
「東大や京大ばかりが優遇されて採用される」というような悪い評判もありますが、成績の良いトップ大学出身者ほど基礎能力が髙いと考えられ、省庁がそのような人材を選ぶのは日本のためにも当然の採用といえます。
キャリア官僚の年収・収入状況解説
キャリア官僚の初任給から役職ごとの平均年収推移、生涯賃金を解説します。
キャリア官僚の初任給
人事院発表の資料(平成30年)でキャリア官僚の代表的な初任給が公表されています。
試験 | 学歴 | 級・号俸 | 月額 |
総合職 (キャリア官僚) |
院卒者 | 2級11号俸 | 261280円 |
大卒程度 | 2級1号俸 | 229240円 | |
一般職 | 大卒程度 | 1級25号俸 | 222240円 |
高卒者 | 1級5号俸 | 183720円 |
総合職採用者、いわゆるキャリア官僚 (大卒程度)の初任給は22万9240円でした。
一般職採用(大卒程度)の初任給は22万2240円ですから、差は7000円程度しか無く22・23歳の時点ではそれほど大きな差は設定されていません。
民間企業と比較しても平均的な水準に設定されています。
キャリア官僚の年収推移
キャリア官僚の年収は以下の様に推移していきます。
役職 | 年齢 | 年収 |
係員 | 22歳 | 350万円 |
係長 | 20代後半 | 500万円 |
課長補佐 | 30代 | 750万円 |
課長 | 40代 | 1200万円 |
審議官 | 50代前半 | 1500万円 |
局長 | 50台半ば | 1800万円 |
事務次官 | 50代後半 | 2300万円 |
入省・入庁したての新人、22歳での年収は約350万円です。
20代後半になると係長に昇進しますが、その時点での年収は約500万円。
30代には課長補佐まで昇進し、年収も750万円にまで上昇します。
ちなみに課長補佐が一番忙しい時期といわれ、残業時間も相当な数字になります。
キャリアとして採用された場合、この課長補佐までは一律に出世していきます。
そして、早い人で40代前半には課長へと昇進し、年収も約1200万円と大きく上昇します。
ただ、一律に昇進できた課長補佐とは異なり、ここから課長になれる人となれない人で出世に差が出てきます。
50代前半に審議官に昇進。年収は約1500万円。
民間企業で言う「役員」クラス。
50代半ばには局長に昇進。年収は約1800万円。
ただし、ここまで昇進できる人は同期の中でも一握り。
出世レースから脱落した人は退職して、民間企業や関連団体などに転職します。
50代後半には同期の中のトップが事務次官へと就任します。
事務次官の年収は約2300万円。
※状況次第では同期から事務次官が複数人でたり、また一人もでないケースもあります。
キャリア官僚の生涯年収・生涯賃金と天下り
キャリア官僚の生涯年収は22歳でキャリアとして採用され、出世レースのゴールである事務次官(50代後半)まで到達して約5億円程度です。
退職金:5000万円~6000万円程度
生涯年収・生涯賃金:約5億円
公務員としての収入は約5億円ですが、事務次官退官後は、ほとんどの人が民間企業や団体に再就職して給与や退職金を得るため、最終的な生涯年収は5億円から更に1億円~2億円は増える事になります。
いわゆる「天下り」と呼ばれる退職システムです。
キャリア採用の同期十数人の中で、事務次官にまで昇進できるのは基本的に1人しかいません。
出世レースから脱落した人は40代くらいから順次、外郭団体や民間企業、関連法人に退職していくため、ほとんどの人は生涯年収としては5億円よりも少なくなります。
※天下り先、再就職先のレベルは退職時の役職水準によって決まる。髙い役職で退官するほど再就職先の待遇も良くなる。
キャリア官僚の年収が高すぎる問題
キャリア官僚が一般公務員より年収が高く設定されている理由
一般の公務員と比較するとキャリア官僚の昇給ペース、年収は高く設定されています。
専門性の高さ
キャリア官僚は高度な専門性が求められる職務に就くことが多い。
高度な教育と厳しい試験によって証明されており、その報酬はそのスキルと知識に見合ったものが必要。
責任の重さ
国や地域社会に対して非常に高い責任を担っており、政策の策定、法の施行、予算の管理など、その責任に見合った報酬が必要。
労働条件
官僚の仕事は非常に多忙であり、長時間労働が一般的。
また、ストレスがかかる環境で働くことも多く、そのような労働条件を補償するため。
人材の確保
高度な専門知識を持つ人材を確保し、長期間働いてもらうためには競争力のある報酬が必要。
キャリア官僚になる人であれば、民間企業で高収入を得られる可能性が高い人がほとんどで、民間に匹敵するような報酬が必要とされるため。
以上のような理由から、キャリア官僚の年収は比較的高く設定されています。
民間でも必要とされる良い人材には、民間並み以上の収入を担保する必要があるということなのでしょう。
実はキャリア官僚の年収は安すぎる
上記データからわかるように、キャリア官僚の年収は40代で1000万円を超えてきます。
その金額を見て「キャリア官僚の年収は高すぎる」と批判的な考えを持っている人も少なくないかもしれません。
また、メディアによる誇張された批判も散見されます。
https://www.nenshuu.net/salary/contents/heikin.php
しかし、民間平均、一般公務員平均との比較はあまりにもお粗末だと言えます。
キャリア官僚は超優秀層
キャリア官僚として採用される大半が東大・京大・旧帝大・早慶の卒業者。
国家公務員総合職に合格する上位層、つまりキャリア官僚であれば、外資であろうと日本企業であろうとまず間違いなく渇望される人材です。
実際に多くの人が有名企業の内定を蹴って官僚になっており、官僚を早期退職した人も有名企業に転職しているのが実情です。
彼らの能力であれば、民間に就職していれば、かなりの確率で30代で年収1000万円を超える収入が得られたはずです。
賃金の大小を比較するのであれば、最大手の企業と比較しなければ数式が成り立たず、上位層と比較して「少ない」という結論になるのが自然な流れといえます。
近年は安い給料のうえに、月100時間を超える残業が問題になるなど、優秀層の官僚離れが顕著になりつつあります。
「朝7時出社、午前2時帰宅して30代で年収600万円は割に合わない」
「同級生の給料を聞いて、キャリア官僚からの転職を決意した」
という話も珍しい話ではありません。
現状に霞が関も危機感を抱いており、水準を上げる賃金制度や労働負担を軽くする政策を切望しているといいます。
キャリア官僚の仕事と激務ぶりについて
キャリア官僚の仕事は「激務」という噂は誰しもが一度は聞いたことがあると思いますが、この噂は本当です。
国会対応の求められる省庁や業務量の多い省庁では、月の残業時間が200時間~300時間になる事もあります。
残業時間の長さに耐えきれずに体調を崩したり、鬱病を発症する職員も多いようです。
また、その現状を見た若手官僚の早期退職増加も大きな問題になっています。
すべての省庁が常に忙しいわけではなく、特許庁など残業の少ない省庁もあるにはありますが、基本的には業務過多の状況になっています。
どうして、それほどまでに忙しいのか?
最終的には「仕事が多すぎる」で結論づけられてしまうのですが、いくつか代表的な理由を挙げると
◇国会会期中に求められる答弁の作成時間がおかしい
国会の会期中は本会議や予算委員会などで国会議員からの質問に大臣が答弁を行います。
その答弁は官僚が作成するわけですが、国会議員からの質問が教えられるのは、なんと前日の昼から夜。
そこから大急ぎで質問内容を精査し、回答を仕上げます。
納期は「翌朝」というシビアな状況で完璧な答弁書を作成しなければならず、徹夜もやむなしの状況が連日続きます。
◇法案作成など「ここまで」といった明確なラインがない仕事が多い
キャリア官僚の大きな仕事の1つに法案・法律の作成があります。
仮に、最近、新しく発明された「ドローン」を規制する法律を作成するとしましょう。
法律をつくるために研究者や専門家に意見を聞いて、関係省庁とも協議して、矛盾点や不合理が生じないようにあらゆる可能性を模索します。
・現在の基準では問題ないが、将来的にドローンが巨大化して人を乗せられる様になった場合、どこかで問題が出てこないか?
・その将来的な時期をいつに設定するのか?
あらゆる可能性を考えるわけですが、あらゆる可能性に終わりはありません。
まるで禅問答のような仕事ですが、それら検証するための時間がどうしても必要になってくるため、午前様が当たり前の環境になってしまうのです。
見当外れの批判が多い公務員批判
上記のような状況にも関わらず「給料が高すぎる」と批判されがちなキャリア官僚。
★大手民間企業との給与格差
★午前様が当たり前の激務
果たして本当に「給料が高すぎる」のか、今一度問い直す必要があるでしょう。
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