様々な専門知識を持ったスペシャリストチーム。
金融・人材系の知識が強い。
総務省発表の期末・勤勉手当(ボーナス)データと国会議員・両院議長の歳費データを合計し、国会議員の年収を算出しました。
国会議員の年収
2181万円
衆議院・参議院議長 の年収
3658万円
国会議員の年収・給料
国会議員の収入源を一覧表記してみましょう。
月給とボーナス
月給
国会議員には「歳費」として月に約130万円支給されます。
歳費とはサラリーマンで言う、いわゆる月給のことで毎月10日に支給されます。
この金額に当選回数は関係なく、初当選の議員でも連続10回当選の重鎮でも同じ支給額になります。
ボーナス
ボーナスは期末手当という名称で年間約600万円程度支給されます。
金額は時勢によって多少の増減はありますが、おおむね500万円~600万円程度。
国家公務員と同様に6月30日と12月10日に支給されます。
【令和2年】
令和2年6月:約319万円
令和2年12月:約310万円
ボーナス:629万円(6月:319万円 12月:310万円)
合計:2181万円
ボーナス:1054万円(6月:535万円 12月:519万円)
合計:3658万円
文書通信交通滞在費
文書通信交通滞在費とは月額100万円、年1200万円支給される非課税の手当。
「電話代や郵便代など政治活動に必要な資金として使用する」という名目はありますが、使途報告の義務がないため、実質的な給与に近い存在になっています。
※何に使用しても報告の義務がないため、どのように使用されているのかわからず、実質的には自由に遣える。
実際には議員の交遊費用など小遣いに使用している人もいるなど、、という噂もあるほどです。
立法事務費
一人あたり月額65万円が政党に支給されています。
ただし、議員が所属する政党に支給されるもので、議員個人に直接給付されるものではありません。
政党に支給された資金がどのように使用されるのかは政党の事情によって様々です。
政治資金パーティー
国会議員は政治資金を集めるために政治資金パーティーを開催しています。
※すべての国家議員がパーティーを行っているわけではなく、全くパーティーからの資金集めをしない人もいます。
収支額は議員の知名度や人気によって様々ですが、一例を挙げると衆議院議員の河野太郎さんは「河野太郎と21世紀の日本を語る会」で約3050万円の収入がありました。
※収支報告書 平成29年分より参照
献金
国会議員には支持者からの個人献金も認められています。
こちらも金額については様々で人気や知名度によって増減します。
衆議院議員の河野太郎さんのケースでは個人からの寄附、団体からの寄附を合わせると1年間で約1900万円でした。
※収支報告書 平成29年分より参照
政党交付金
一定の規模がある党は、国から政党交付金が支給されます。
その交付金の中から議員に対して助成が行われる事があります。
政党の活動を助成するために支給されるものであるため、各議員に振り分けられる金額は不明。
※自民党では年間800万円~、民主党では当選回数に応じて年間1000万円~が議員に支給されていた。
政党交付金一覧(2019年)
国民民主党:52億円
公明党:30億円
日本維新の会:15億円
社会民主党:4億円
その他
テレビ番組の出演料や講演料、有料ブログの購読料など様々な収入源があります。
また、金銭的支給ではありませんが、東京の赤坂と麹町に格安で利用できる議員宿舎とJR、民間の鉄道・飛行機が利用できる議員パスも支給されます。
議長など特別な役職に就いている議員には、1日あたり6000円の雑費が国会会期日数分支給されます。
収入総額
国会議員の収入総額は以下のとおりです。
◆文書通信交通滞在費:月額100万円(年:1200万円)
◆政治資金パーティー:議員次第
◆寄附、献金:議員次第
◆その他(出版や講演など):議員次第
◆政党からの助成金:1000万円
※政党に所属している場合。政党の規模・方針によって支給額が変わる
国会議員の収入総額でいえば、新人の1回生議員でも年間4000万円から5000万円程度にはなります。
当選回数の多いベテラン議員であれば、上記の「議員次第」の数字が跳ね上がるため、総額で1億円を超える収入を得ている人もいます。
国会議員の必要経費
収入とは反対に国会議員の必要経費について解説します。
国会議員の収入を本当の意味で理解するには、同時に必要経費の知識も知っておく必要があります。
事務所費用
議員として活動するために、地元(自身の選挙区)に事務所を構える必要があります。
それらの賃貸料に加えて、オフィス機器レンタル料や水道光熱費など経費は相当に必要になります。
全てを合算すると相当な金額になり、毎月数十万円から100万円近い固定費を支払い続けている議員がほとんどです。
秘書・スタッフの人件費
一番の経費は「人件費」です。
秘書は3人まで公務員扱いとなり国から給与が支給されますが、実際のところ3人の秘書で円滑な活動を行うことは難しく、国会議員であれば少なくとも5人以上の秘書・スタッフを雇用しているのが通常です。
そのため、4人目からは全て国会議員の自腹で雇用することになります。
ベテラン・重鎮クラスになると、実に10人以上の秘書を雇用しているケースもあり、一人あたり年収500万円として、人件費だけでで年間に5000万円以上が必要になります。
選挙関係費用
任期満了や解散により選挙となった場合は、青天井に経費がかかります。
※衆議院議員選挙の場合、選挙費用は平均2000万円程度。
元衆議院議員の上西小百合さんは
「選挙には3000万円が必要だった。落選しても生活できますか?」
と問われたと公表されています。
知名度を上げるためのビラを配ること一つをとっても、人件費やビラの費用など、頑張れば頑張るほど資金が必要になってきます。
・ポスター、ビラなどの印刷物
・協力スタッフの人件費
・選挙カーのレンタル費
・のぼりや看板などの作成費
・スタッフ着用シャツの作成費
・事務所費用(もともとの一つだけでなく、選挙時には複数の拠点で戦うことも)
収入は当選回数を重ねるほど増加していきますが、それと同時に必要経費も増加していきます。
選挙費用は一般的に最低でも2000万円は必要で、あればあるほど当選に近づきます。
現在ではコスト意識が高まり、1000万円程度の選挙資金で当選を果たす議員もいますが、それはかなりのレアケースです。
国会議員の実情
数千万円にもなる国会議員の収入に対して
「貰いすぎだ!」
「市民感覚がまるでない!」
との批判も少なくありません。
確かに一般の人が2000万円以上の収入を得ることはほとんど不可能なのが現実で、批判する気持ちも理解できなくはありません。
しかし、、
仮に国会議員の年収がサラリーマンの平均程度だった場合
ほとんどの人は貯金や借金で費用を捻出していますが、国政選挙に出馬するには供託金や選挙費用など数百万円から1000万円以上の費用がかかります。
当選してもリターンがサラリーマンの平均年収では、任期の4年(衆議院)から6年(参議院)で職を失い、当選するかどうかもわからない選挙に誰も出馬しなくなるでしょう。
どこかのお金持ちか利権団体のバックアップを受けたような裕福な人物しか出馬ができなくなります。
そうなれば、日本の政治が一定の利権者を優遇した偏ったものになりかねません。
立候補者にも家族がいて生活があり、金銭面やある程度の安定を担保しなければ、優秀な人材や多種多様な考えを持った人材が集まらないのが現実なのです。
そのような面から考えてみると、現在の年収数千万という金額も妥当な数字といえるのかもしれません。
悲惨な話も多い
衆議院選挙に出馬して当選を考えるなら選挙費用はあればあるほど有利になります。
資金があれば当選するわけではありませんが、なければ当選は難しくなるのが現実です。
現実に一回の選挙費用として数千万円を費やす候補者も少なくありません。
あなたなら必ず当選する!
と、党からの「強い依頼」に応じて選挙に出馬したにもかかわらず、実際には落選してしまい資産を失った挙げ句、借金を抱えてしまったという話はいくらでも存在します。
ガッツ石松さん
元ボクシング世界チャンピオンでタレントのガッツ石松さんは1996年の衆議院選挙に出馬した際、3億円の借金をして当選を目指しましたが結果は落選。
選挙後は3億円の借金だけが残る結果となり、その借金を10年かけてやっとの思いで返済した。
城内実さん
元外務官僚の城内さんは初出馬の際に地元有力者に「とりあえず5000万円ほど借りると良い」と進言され、実際にその金額を借り入れ。
後援者のサポートのおかげで、その大半を使用せずに当選する事ができたが、実際には衆院選の際には5000万円程度の資金が必要になる事もあると著書に記しています。
クレジットカードがつくれない
一般には知られていませんが、不安定な職業であるがゆえに国会議員はクレジットカードの審査が通りにくくなっています。
国会議員に当選する人物ともなると立候補前は錚々たる職業や経歴を持った人たちばかりで、審査に落ちる事などありえない存在であったはずですが、議員になった途端、カード会社の審査に引っかかることがあります。
クレジットカード会社が数値からリスクを算出した結果、「国会議員は安定した職業ではない」と判断しているのでしょう。
立場としては、収入の多いフリーター扱いに、、。
生活保護や自己破産になる人も
「年収入数千万円」であることから「国会議員経験者は悠々自適な生活を送っている」という印象を持つ人も多いかもしれません。
そのイメージ通りの生活を送っている人もいる一方で、落選や引退により一般人よりも困窮した生活を送っている政治家経験者も少なくありません。
落選者や引退後の実情はあまり知られていませんが、選挙費用が原因の自己破産や職を失い生活保護を受給せざるを得ない状況になってしまう元政治家も少なからず存在しています。
まとめ
国会議事堂での姿しか有権者が触れることはありませんが、実際にはその何倍もの人が多額の借り入れをしながら選挙に挑んでいる事実は知っておいたほうが良いでしょう。
一般の水準では高所得者の部類に入りますが、上記に記載したような必要経費を考えればさほど恵まれているとは思えません。
今は国会の高級椅子に座っている国会議員も次の選挙後には「無職」になる可能性も十分にあります。
日本の政治家であり続けるには金銭的にな余裕が何よりも重要で、2世議員や重鎮以外は常に金策に奔走しているのが現実なのです。
職業・資格 年収ランキングを見る