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発達障害の特徴を持つ人へ 生活や仕事などについてのインタビュー(なんばさん)

2021年02月01日 2021年02月26日 68 発達障害の転職・就職

発達障害と一言に言っても、その症状は千差万別です。
程度の軽いものから重いもの、単純な症状から複合的な症状まで様々なものがあり、本人でさえも実態が掴みにくいと言われています。

そこで、実際に発達障害を持った人がどんな生活を送り、働いてきたのかインタビューを行いました。

先人の経験は自身がこれからの人生を歩む上で、何よりの参考となります。

インタビュー

取材対象者 なんばさん

ーーどのような発達障害なのですか?※ADHD ASD ACなど

ADHD(注意欠陥多動症)とASD(自閉症スペクトラム)障害を併発しています。
ADHDは不注意優勢型の特性が強く出ていて、ミスが多かったり、言われたことをすぐ忘れてしまうという特性があります。
また、AC(アダルトチルドレン)の疑いもあります。

ーー服薬はしていますか?

朝に1回コンサータと呼ばれるADHDに効果的な薬を54mgを飲んでいます。
服薬が始まったばかりのときは多動や不注意に効いたという実感はありましたが、飲み続けるにつれてあまり効果を実感しなくなりました。
慣れてしまったことが原因かもしれません。

ーー現在までの経歴・職歴を教えて下さい。

高校時代は偏差値50ほどの地元の普通科の高校に通っていました。
これといって得意な科目もなく、中盤の成績で、卒業を迎えました。
高校卒業後は、これといってやりたいことがなく公務員の専門学校に通いました。
1日も休まず通い皆勤賞をいただきました。

専門学校時代も、特に目立った功績などはなく、無難に卒業を迎えました。
公務員試験は失敗して、2年間コンビニエンスストアでフリーターをしていました。

その後、父親の紹介で、太陽光の工事会社に勤めることになりました。
最初に配属されたのは営業の部署で、主に図面設計を担当していました。

半年がたち、上司に部署異動を命じられ、工程管理の部署に移動しました。
結局この会社には5年半ほど勤めました。
現在は、フリーランスのライターとして活動しています。

ーー小学校・中学校・高校~の生活について教えて下さい。※周囲との関係、勉強の出来、得意・不得意分野

小学校5年生の時に親の離婚がきっかけで転校をしました。
それまでは友達もそれなりにいましたし、あまり不自由を感じず過ごせたと思います。
しかし、友達と遊ぼうと言われても乗り気にならず一人でいることを好む性格でした。

また、一時期ですが特定の人にいじめられていた経験もあります。
ただ、その時はいじめられていたという実感はほぼなく、仲間内のじゃれ合いという認識でいました。あとから思い返すといじめだったのではないか?と思います。

転校をしてもやはり、この性格はついて回りました。
周囲との関係を深めることが難しく自分から嫌われてるような行動を取ってしまったこともあります。

中学生になり、部活動が始まると自然と部活の仲間との交流が増えます。
そのため、放課後などに遊ぶ時間が増えたりして、親交が深まると居心地の悪さを感じました。

しかし、仲間から一緒に遊ぼうと言われると断れない自分もいました。
高校に入ると、コミュニケーションの頻度が増えます。
中学校まではほとんどが顔見知りでした。

高校は、さまざまな場所から通学してきます。
そのため、自分という人間を表現しないと、仲間外れにされてしまう恐怖がありました。
周りの人たちと比べてコミュニケーションが苦手という認識があったため、この環境に耐えられるか不安でもありました。

しかし、幸いにも少人数のグループと仲良くなることができ、完全に孤立した高校時代を送ることをせずに済みました。

専門学校時代は高校時代の友達がいたため、一緒に行動することが多かったです。
しかし、存在を消して授業に出席することも多かったです。

誰にも気がつかれないようにするのが一番自分にとって心地よかったからです。
昼休みもワイワイすることが苦手だったため、一人でトイレにこもってお弁当を食べることが多くなりました。

ーー社会人になってから

社会人になると、仕事上の最低限のコミュニケーションは必要になってきます。
しかし、これまでほとんどコミュニケーションを取ってこなかった私にはそれさえも難しく感じられました。

なるべく1人で仕事を終わらせようと必要以上に仕事を抱え込んでしまったり、周囲に相談できずに上司に注意されることもありました。

時々周囲に頼って仕事をしてもらうことを覚えたときは、仕事はチームワークが重要だということを実感しました。

ただ、管理職的な立場の仕事を求められるようになると、マネジメント能力や、意見をまとめる力が必要になってきます。
私は、それが苦手だったため仕事を辞めることを決心しました。

ーー結果として出来なかったために退職を選択したと思うのですが、管理職的な仕事をうまくするためにトライしてみた事はありますか?
※声掛けをするようにした。周囲との相談を増やすようにしたなど。

管理する立場になると、他の人の仕事を把握しなくてはなりませんでした。
積極的にコミュニケーションをはかろうとしましたが、いつも話の内容についていけなくなり置いてけぼりになってしまいました。

会話のスピード自体についていけないのは、境界知能という特徴(知能指数(IQ)69~85)があり理解力が乏しいことが関係していたかもしれません。

そのため、口頭でのコミュニケーションよりも文面でのコミュニケーションに力を入れました。文章だと、自分の中で噛み砕いてから書き起こすことができるため、口頭よりかなり気持ちが楽にできました。

また、そのときは自分が発達障害と思っておらず、劣等感からか気軽に周りに相談できませんでした。
発達障害と診断された今なら、自分の特性を話して協力してもらうことができると思っています。

そのほうが結果として自分も他人もあまりストレスを感じず仕事を進めることができると実感したからです。

ーー発達障害といつ気づきましたか?また気づく前から周囲との違和感はありましたか?

発達障害と正式に診断が降りたのは2020年の2月頃です。
周囲との違和感は感じていて、「なんでこんな簡単なことができないのだろう」「なんでコミュニケーションをうまく取れないんだろう」と悩むこともありました。

しかし、その頃は発達障害という言葉自体を知らなくて、自分が発達障害だということは考えてもみませんでした。

ーー現在の仕事といままで経験した仕事について

現在はフリーランスでライターをしています。

今まで経験した仕事は、アルバイトで某ファーストフード店2店舗、コンビニエンスストア、派遣で工場、イベントスタッフ、倉庫業務などを経験してきました。

ーー経験したトラブルについて

お客様からクレームをもらったときがあります。
頭の中が真っ白になってしまい、きちんとした対応ができず、迷惑をかけてしまいました。

また、工事の日程を誤って調整していて、工事の日程当日にお客様の家に作業班がいないということもありました。

このときも頭が真っ白になってしまい、上司や会社に迷惑をかけてしまいました。

ーーどうやって克服したか、しようとしているか

私はうつ病を患っていることもあり、障害者手帳2級を持っています。
そのため、障害者雇用で仕事を探せます。

障害をクローズにして働くことで周囲との摩擦が起きてしまう恐れがありますが、オープンにして働くことでそういった周囲とのズレを防ぐことができます。

また、発達障害に関する書籍を読んだり、関連する動画を見たりして知識を深めています。
自分のことを少しずつわかってきて客観的に見ることができるようになってきました。

ーー周囲の人には発達障害を伝えていますか?

今は、SNSやYouTubeなどの情報発信をできる場があるので、そうした場では言うこともあります。

ただ、家族には言っていませんし、現在はフリーランスなので、発達障害がデメリットになることも多くすすんで言うことはありません。

ーー仕事について(今までの仕事、辞めた理由、適性について、どんな仕事が向いているかなど)

私が今まで仕事をしてきた中で向いているなと思った仕事は、ファーストフード店のキッチンです。
なぜなら、1人で自分のペースで黙々と仕事をすることができるからです。

たまに上の人から指示を出されることはありますが、複雑なものではなく単純で、ASDが苦手とする抽象的な指示というものがありませんでした。

私はASD(自閉症スペクトラム)の傾向が強いため、コミュニケーションを必要とする職場は向かないと感じます。

例えば、営業はすごく苦手で自分を表現することに苦手意識を感じますし、コミュニケーションが必要とされるので、すぐに疲弊してしまいました。

また、工場なども向いていると良くネットで言われていますが、ADHD(注意欠陥多動衝)を併発していると、飽きっぽさがあるため、単純な工場業務には向かないと思います。

私自身今は、フリーランスでライターをしていますが、自分の好きな時間に好きな量を1人で仕事をすることも可能なので発達障害の方にも向いているのではないかと思います。

ただ、フリーランスとなるとコミュニケーション能力は必要ですし、自己管理能力や、スキル、事務的な処理なども必要になるので、会社員を勤めるほうが性に合っているという方も多いと思います。

ーー発達障害の状況について

発達障害と診断された当初は、「これで生きやすくなるかな」と思ったりもしました。
確かに、発達障害という診断をされると、助けを求められる制度が利用できるようになるといったメリットもあります。

そういった制度を利用することで、生きやすくなった実感はありますが、まだまだ発達障害に対する世間の目は気にしてしまいます。

発達障害と診断されたからといって、個性にすぎないと考えるほうが良いと最近は思っています。

発達障害を個性として考えられるようになると、「発達障害だから」という理由を探ししてしまうことや、やらない理由を探しをしてしまうことから脱却することができると思うのです。

ーーファーストフード店が良い仕事だったとのことですが、なんばさんがその他にできそうな仕事はありますか?※フリーランス以外で、経験していなくても。

ASDの気質を持っているのでデータ入力や工場でのライン作業は、淡々とできると思います。
しかし、私は飽き性の面もあり(ADHDで多動衝動優勢ならなおさら)、一日単純な作業をすることは意外と退屈に感じることもあります。

あとは、ASDの方は基本的に一人で完結する仕事を得意とすると思いますので、ウェブデザイナーやエンジニアは向くと思います。

また、私は難しかったですが、ADHD(多動衝動優勢)の方でコミュニケーションを得意とする方であれば、新規開拓の営業は向いていそうですね。

ーー両親との関係はどうですか?関係は良好、普通、険悪?
また、発達障害は遺伝すると言われていますが、両親からそのような印象を感じたことはありますか?

私の親は離婚をしていて現在私は母親と暮らしています。
めったに母親と口を聞くことはないのですが、特に問題なく過ごせています。

私の父親(離婚しましたが)は、お酒やタバコ、パチンコに依存するタイプで夜遅くにならないと帰ってこない人でした。

このような傾向からみると、ADHDの気質を持っていたのではないかと考えています。
また頑固で柔軟な対応が出来ないこともときどき見られました。

私の父親の弟はもうなくなっているのですが、無口であまり喋らない傾向にあったそうです。
このことからASDの気質もあったかもしれません。

また母親に発達障害の傾向を感じたことはほとんどありません。

ーー現在や将来的に対しての不安や希望は何かありますか?

将来の不安ですが、仕事に対してとても不安を感じています。
なぜなら今まで会社員で5年半勤めてきましたが、体力的な面や精神面で正社員雇用は厳しいと感じたからです。

今はフリーランスですが、雇用されることがあればしばらくは障害者雇用やパート、アルバイト、派遣などの働き方で様子を見ることになると思います。

最近は発達障害の書籍や情報が一般に出回るようになって、発達障害に対する世間の認識は高まっています。

早期に見つかった子供の発達障害に関しては、特別な支援や方法で改善が期待されますね。
しかし大人で発達障害と診断された方は、本人の努力次第で改善することが難しいことがあります。

その場合は環境を整えたり、周囲の配慮を求める必要があります。

発達障害に対する世間の偏見は大分減ってきたと思いますが、まだ働きずらい環境であったり、発達障害の当時者が周りに甘えることのできない状況があることも事実です。

すぐには難しいですが、少しずつ発達障害でも健常者でもどちらの方も心地よく過ごせる環境が整えばと思っています。

インタビューを終えて

インタビューではコミュニケーションであったり、仕事であったり、発達障害の方が悩みやすい「一通りの経験」をされてきたのだなと感じました。

発達障害の傾向にある人が詰まる所はだいたい似通っていますが、そこに対してどのように対処するのかがうまく生活するポイントになります。

理解していてもなかなか難しいのが実情ですが、「フリーランス」という自由の利きやすい職業を選択したのは良い判断と言えるのではないでしょうか。

この記事を書いた人
年収ガイド運営チーム

様々な専門知識を持ったスペシャリストチーム。
金融・人材系の知識が強い。