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一般的に成功者の代名詞とされる年収1000万円。
実に給与所得者の4%程度が年収1000万円以上を得ているとの統計もあります。
一流企業であれば40歳過ぎで支給される数字ですが、公務員でも年収1000万円は可能なのでしょうか?
結論から言うと「可能」なのですが、公務員の年収状況とその難易度について解説します。
国家公務員

上記モデル給与例より、国家公務員の場合は本府省(霞が関の省庁)の課長クラスになれば年収1000万円が実現します。
本省の課長クラス以上はキャリア官僚がほとんどです。
国家公務員総合職採用のキャリア(官僚)であれば、概ね40歳前後で年収1000万円に届くでしょう。
逆に、いわゆるノンキャリア出身の場合、課長まで昇進することは相当に有能な人物でないと難しいのが現実です。
そのため、「国家公務員 ノンキャリア」での年収1000万円実現はかなりの努力が必要になります。
指定職
その他にも特別な指定職クラスになる事ができれば、年収1000万円を得ることが可能です。
以下は代表的な指定職と給与の一覧です。

部長や局次長クラスで月給70万円程度ですが、各種手当やボーナスを含めると年収は1000万円以上になります。
日本のトップ、内閣総理大臣で約4000万円の年収となります。
ただし、総理大臣になることは東京大学や司法試験にトップ合格することよりも遥かに難しいのが現実です。
地方公務員

地方公務員の場合は各都道府県によって給与水準が異なるため、状況は様々です。
代表的な都道府県の給与モデルを掲載します。
東京都 給与モデル
月給与×12ヶ月 | 期末手当 | 勤勉手当 | 年収 | |
25歳係員 | 2651040円 | 574392円 | 441840円 | 3667000円 |
35歳課長代理 | 4425120円 | 1016300円 | 781770円 | 6223000円 |
45歳課長 | 7279200円 | 1399918円 | 1527184円 | 10206000円 |
50歳部長 | 9155520円 | 1669192円 | 2169948円 | 12995000円 |
※その他手当には地域手当、特別調整額(管理職手当)が含まれています。
日本一の高給を誇る東京都の場合は45歳課長で年収が1000万円を超えてます。
東京都の場合は地域手当が約20%加算されるため、役職が低くても50歳を過ぎると年収1000万円を超えてくるケースもあります。
大阪府 給与モデル
区分 | 月例給 | 期末勤勉手当 | 年収 (減額後) |
管理職手当カットによる年間抑制額 | ||||||
給料 | 管理職手当 (5%減額後) |
地域手当 | 給与月額 (減額後) |
月数 | 期末勤勉手当額 | |||||
行政職給料表 | 部長級(理事) | ― | 572800 | 97280 | 73708 | 743788 | 4.40 | 3861127 | 12786583 | 68208 |
次長級(副理事) | ― | 514100 | 87305 | 66154 | 667559 | 4.40 | 3352342 | 11363050 | 61212 | |
課長級(参事) | 50歳 | 460845 | 76095 | 59063 | 596003 | 4.40 | 2892529 | 10044565 | 53340 | |
課長補佐級 | 50歳 | 420188 | 46220 | 466408 | 4.40 | 2360023 | 7956919 | 0 | ||
主査級 | 45歳 | 372245 | 40946 | 413191 | 4.40 | 1999844 | 6958136 | 0 | ||
主事級 | 35歳 | 275706 | 30327 | 306033 | 4.40 | 1413869 | 5086265 | 0 | ||
主事級 | 大卒初任給 | 182800 | 20108 | 202908 | 4.40 | 892795 | 3327691 | 0 | ||
教育職給料表 高等学校など |
校 長 | 55歳 | 492620 | 71440 | 62046 | 626106 | 4.40 | 2766847 | 10280119 | 50088 |
教 頭 | 50歳 | 465820 | 63555 | 58231 | 587606 | 4.40 | 2502570 | 9553842 | 44556 | |
首席・指導教諭 | 45歳 | 433876 | 47726 | 481602 | 4.40 | 2330952 | 8110176 | 0 | ||
教 諭 | 45歳 | 411337 | 45247 | 456584 | 4.40 | 2109417 | 7588425 | 0 | ||
教 諭 | 35歳 | 336843 | 37052 | 373895 | 4.40 | 1727391 | 6214131 | 0 | ||
教 諭 | 大卒初任給 | 212264 | 23349 | 235613 | 4.40 | 1036697 | 3864053 | 0 | ||
教育職給料表 小学校・中学校 |
校 長 | 55歳 | 463635 | 67640 | 58440 | 589715 | 4.40 | 2604047 | 9680627 | 47412 |
教 頭 | 50歳 | 442713 | 62795 | 55605 | 561113 | 4.40 | 2378428 | 9111784 | 44028 | |
首席・指導教諭 | 45歳 | 419010 | 46091 | 465101 | 4.40 | 2251088 | 7832300 | 0 | ||
教 諭 | 45歳 | 398846 | 43873 | 442719 | 4.40 | 2045357 | 7357985 | 0 | ||
教 諭 | 35歳 | 338196 | 37201 | 375397 | 4.40 | 1734330 | 6239094 | 0 | ||
教 諭 | 大卒初任給 | 212264 | 23349 | 235613 | 4.40 | 1036697 | 3864053 | 0 | ||
公安職給料表 | 警視(所属長級) | 58歳 | 482861 | 91200 | 63146 | 637207 | 4.40 | 3148635 | 10795119 | 63936 |
警視(管理官級) | 55歳 | 474773 | 52225 | 526998 | 4.40 | 2666606 | 8990582 | 0 | ||
警部 | 50歳 | 445709 | 49027 | 494736 | 4.40 | 2503362 | 8440194 | 0 | ||
警部補 | 45歳 | 405782 | 44636 | 450418 | 4.40 | 2180019 | 7585035 | 0 | ||
巡査部長 | 40歳 | 344504 | 37895 | 382399 | 4.40 | 1766679 | 6355467 | 0 | ||
巡査長 | 35歳 | 286457 | 31510 | 317967 | 4.40 | 1469006 | 5284610 | 0 | ||
巡査 | 25歳 | 224056 | 24646 | 248702 | 4.40 | 1094288 | 4078712 | 0 | ||
巡査 | 大卒初任給 | 205400 | 22594 | 227994 | 4.40 | 1003173 | 3739101 | 0 |
大阪府は実に多くの年収モデルが公開されています。
東京都同様に給与水準の高い大阪府ですが、課長クラスで年収1000万円を超えるというのも同様のようです。
教育職では校長先生・教頭先生クラスになると年収が1000万円を超えてきそうです。
公安職の警察官でも58歳時には年収1000万円を超えています。
京都府 給与モデル
職務段階 | 年齢 (級) |
扶養親族 | 月例給 | 年間給与 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
勧告前 | 勧告後 | 差 | 勧告前 | 勧告後 | 差 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
係 員 | 25歳 (1級) |
なし | 円 218471 |
円 219784 |
円 1313 |
千円 3583 |
千円 3615 |
千円 32 |
|||||||||||||||||||||||||||||
30歳 (2級) |
配偶者 | 268577 | 269561 | 984 | 4392 | 4421 | 29 | ||||||||||||||||||||||||||||||
副主査 | 35歳 (3級) |
配偶者子1人 | 325902 | 326668 | 766 | 5380 | 5410 | 30 | |||||||||||||||||||||||||||||
主 査 | 40歳 (4級) |
配偶者子2人 | 397887 | 398325 | 438 | 6635 | 6663 | 28 | |||||||||||||||||||||||||||||
副課長 | 45歳 (4級) |
配偶者子2人 | 433880 | 434318 | 438 | 7242 | 7271 | 29 | |||||||||||||||||||||||||||||
課長級 | 53歳 (6級) |
配偶者子2人 | 550914 | 551346 | 432 | 8937 | 8971 | 34 | |||||||||||||||||||||||||||||
副部長級 | 56歳 (8級) |
配偶者子1人 | 652938 | 653369 | 431 | 10983 | 11026 | 43 | |||||||||||||||||||||||||||||
部長級 | 57歳 (9級) |
配偶者 | 701295 | 701725 | 430 | 11793 | 11840 | 47 |
※大卒(一類)採用者を例に、給料(管理職員1.5~2%カット)、扶養手当、地域手当(京都市内)、管理職手当を基礎に算出 2018年
大都市圏よりも少し劣る京都府の場合は、課長では年収1000万円には少し届かず、副部長級から年収が1000万円を超えてきます。
特別職の公務員
国家公務員にも地方公務員にも一般的な立場の職員とは異なる「特別職」という職位があります。
特別職は選挙や国会・議会などの議決によって選出される職が主で、一般に受験できる採用試験を通しての採用とは異なります。
上記の選挙で選出される特別職公務員の場合はなることさえできれば、学歴に関係なく指定の給与が支給されます。
特別職の場合は、ほとんどの職種で年収が1000万円を超えます。
高卒の公務員で年収1000万円を超えることは可能なのか?

特別職の公務員
特別職の公務員、選挙で選ばれるような一般的な採用とは異なる公務員になれば、例え学歴が高卒や中卒でも年収1000万円を超えることは可能です。
かなり昔の話になりますが、1970年代の総理大臣 田中角栄さんは学歴上は小学校卒で日本の政治の頂点に上り詰めました。
たとえ、小卒であろうとも国民の支持を獲得できれば、特別職の公務員となり高給を得ることはできます。
国家公務員・地方公務員
国家公務員や地方公務員で年収1000万円を超える職種は大卒区分や上級区分がほとんどです。
公務員試験には大卒程度・高卒程度など、難易度別の区分が存在していますが、学歴による区分はほとんど存在していません。
そのため、たとえ高卒でも学力さえあれば「大卒程度」の試験を受験・合格してエリートコースを歩むことはできます。
高卒者がキャリア官僚となり国を動かすことも理論上は可能なのです。
ただ、大卒者を凌ぐような能力を持つ高卒者はそうそうに存在していないのが現実です。
そういう意味で、高卒が公務員として年収1000万円を超えることは可能ではありますが、相当に難しいのが現実と言えます。
公務員で年収1000万円を超えるのにどのくらいかかるのか
選挙に当選する必要のある特別職は除外するとして、国家公務員でも地方公務員でも年収1000万円を超えようとすると平均で30年程度は継続して働き続ける必要があります。
※同期平均よりも出世していることが前提
一番出世が早いキャリア官僚でも年収1000万円を超えるのは40歳程度で、勤続年数にして20年近くかかる計算になります。
民間の大手企業や外資系と比較すると「安定」が魅力の公務員ですが、「高給を得るにはかなり非効率」というのが実際の現実と言えます。
まとめ
今回の公務員年収1000万円特集のまとめ。
年収1000万円への条件
◆選挙で選出されるような「公務員特別職」であれば、かなりの割合で年収1000万円を超える。
◆地方公務員・国家公務員ともに「課長クラス」に出世することが年収1000万円の基準となる。
◆国家公務員で年収1000万円を実現するには、国家公務員総合職採用のキャリア官僚になることが確実かつ早いルート。
◆国家公務員のノンキャリア、高卒でも年収1000万円は可能だが、課長クラスに出世できるだけの努力と能力が必要。
◆地方公務員の場合、「課長クラス」に出世するか東京・大阪など大都市(地域手当が手厚い)である程度の出世をする。
こうしてみると年収1000万円へのルートは課長クラスにまで出世できるかどうかが、分岐点となりそうです。
この基準は一般企業と同様で、公務員も一般企業も能力のある人にのみ、その称号(1000万円)が与えられるという事なのでしょう。
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