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夜の世界を彩るホスト。
有名ホスト「ローランド」さんが積極的にメディア出演しているためか、最近はホストブームが起こりつつあり、一夜にして数千万円を売り上げるホストもそう珍しい話ではありません。
年収ガイドでは、そんなホストの収入事情を徹底的に調査いたしました。
ホストクラブの求人サイトや求人誌データ、専門誌などの情報から集計した、ホストの年収・収入状況を紹介します。
ホストの年収
NO.1クラス
数千万円~1億円以上
中堅
200万円~600万円程度
新人
0円~200万円程度
ホスト業界の仕組み
ホストクラブ(経営者)とホストはいわゆる雇用主と従業員の関係ではありません。
ホストの一人一人は「個人事業主」という立場で、ホストクラブとしては「場所」を提供しているだけの関係になります。
そのため、ホストクラブとしては所属しているホストの数が増えれば増えるほど売上が上がって利益につながる仕組みになっており、常に人材募集がかけられている要因のひとつでもあります。
ホストクラブの給与システム
売上が上がるほどに収入も増加していくシステムはどこも同様ですが、細かい点での給与システムは各ホストクラブによって様々です。
ある一定の金額、または入店までの一定期間までは日給や時給を優遇した基本給・保証給をメインとした給与が支払われ、一定以上の売上になるとバック率を上げて歩合を強くした形で支払うケースがほとんどです。
※スライドバック方式
50万円~100万円 50%バック
100万円~150万円 51%バック
以降は売上に応じてバック率が上がる。
3ヵ月以降は
0万円~30万円 時給1000円 5%バック
30万円~50万円 時給1200円 10%バック
50万円~70万円 時給1400円 15%バック
以降は売上に応じてバック率が上がる。
※バックとは小計売上に対するパーセンテージです。
30万円の50%バックであればホストへの給与は15万円
また、プレイヤーは基本的に個人事業主扱いとなるため、源泉徴収として10%差し引かれるのが通常です。
上記の他にさまざまな手当て・賞金・罰金もあります。
指名手当て:2000円
ランキング上位:1位3万円など順位に応じて
皆勤賞:20000円
無断欠勤:-3万円
欠勤:-5千円
遅刻15分:-2千円
ホストの福利厚生
前述したようにホストは個人事業主であり、正社員ではありません。
そのため社会保険は加入できず、自身で国民健康保険に入る必要があります。
福利厚生の不十分な所が多く、中には親や親類の扶養に入ったままホストとして活動している人もいます。
また、個人事業主であるため確定申告が必須なのですが、実際に確定申告をしている人は多くはありません。
ホストの年収・収入について
ホストの収入は給与システムや人気、箱の大きさ、集客力、地域によって様々ですが、基本的には売上を上げた分だけ収入が上昇していくシステムになっています。
東京歌舞伎町であれば、トップクラスで年収1億円を超えるホストもいますが、入店直後の新人の場合だと0円、または罰金がかさんでマイナスという人もいます。
ホストは完全なる格差業界でサラリーマンとは比べものにならないくらい上下間の収入差があります。
ランク | 月収 | 年収 |
---|---|---|
NO.1クラス | 数百万~1000万円以上 | 数千万円~1億円以上 |
中堅 | 20万円~50万円程度 | 200万円~600万円程度 |
新人 | 0円~15万円 | 200万円程度 |
新人といえども入店直後から頭角を現して凄い売上を叩いたり、NO.1といえども小さなホストクラブでは収入はそれほどでもなかったりと、一概には言えないのが実情です。
一人前のホストの売上げ
ホストの売上とは「小計(しょうけい)」といわれるサービス料や税金が加算される前の金額になるのが通常です。※総額の所もある。
小計100万円だとすると、通常はそこに消費税8%とサービス料が20%~30%程度加算され、総計で130万円くらいになります。
ホストとして「一人前」といわれるラインは小計で売上100万円。
この数字をコンスタントに叩く事ができるホストは一人前のプロとして周りから認められるといいます。
バック率が40%~60%位とすると小計100万の売上でホストが手にする金額は40万円~60万円。
一月の売上で「100万円」という数字は一般の感覚からすれば相当な金額ですが、実際にホストに支給されるのは多くても60万円程度になります。
サラリーマンであれば、少し恵まれている大手企業クラスの水準ですが、毎日LINEをしたり、アフターにつき合ったりと売上を上げるための努力を考えれば、そう割の良い職業とはいえないのかもしれません。
現在はタレントとして活躍している有名な元NO.1ホスト城咲仁さんはホスト時代の収入が手取りで月収1000万、年収一億円を超えることも珍しくなかったそうです。
売れないホストの売上・収入・年収
売れないホストの年収は0円。
売掛を飛ばれたホストは店からの借金を請け負うことになるため、給料はマイナスとなり、店に指定額を支払わなければなりません。
売れないホストは安い賃貸、実家に住むか、ホストクラブが用意した寮に入り、経費を節約しながら生活します。
収入は売上の約半分、手取りはその半分
仮に月に300万円を売り上げた場合、300万円に対するバック率が約50%で月給が150万円程度。
そこから所得税などを差し引くと約半分の80万円程度が実質的な手取り収入。
仮に年間1億円を売り上げる売れっ子ホストでも、実際の手取りは4分の1の2500万円程度になります。
GUCCIやバレンシアガで身を固めた華々しい「売上1億円ホスト」も収入面では結構カツカツなのが実情なのです。
衣装代、ヘアメイク代、食事代など日常的に出費がかさむ職業ですから、ホストを辞めた後には「一文無し」という人も珍しい話ではありません。
ホストの最高売上と最低売上
ホストの最低売上は0円
お客が呼べずに遅刻や無断欠勤、売掛けを払ってもらえずに「飛ばれた」時、などに記録する数字が0円です。
大口のお客に「飛ばれた」(逃げられた)場合は、0円では済まずにマイナスになることも。
ホストの最高売上
ホストの記録には3つの記録があります。
それは1日の売上、月間売上、年間売上の3つ。
1日の売上では歌舞伎町「RHYTHM」の一秋(にのまえしゅう)さんの1億1100万円が最高売上。
有名なローランドさんの1日の最高売上は6000万円。
※ローランドさんは現金決済
月間売上では歌舞伎町「RHYTHM」の一秋(にのまえしゅう)さんが記録した2億100万円が現在の最高額となっています。
年間最高売上
2022年現在の年間最高売上は、FUYUTSUKI-PARTY-の降矢まさきさんが2021年に達成した5億2000万円。
月平均3000万円以上を売り上げるという驚異的な数字で、同じグループの渋谷奈槻さんが持つ年間売上3億3000万円の記録を2021年に塗り替えました。
トップホストの年間売上
上記の降矢まさきさんなどは別格として、1日や月間の売上ではホスト毎に大きな差が出ますが、年間トータルではどのトップホストも売上2億円付近に落ち着きます。
バースデー月に数千万円を売りあげて、後はコンスタントに1000万円以上の売上を記録する水準。
これはホスト1人で稼ぎ出せるのは「2億円が限界値」という事なのかもしれません。
ホストの収入分布図
ホストの収入分布はどのくらいなのか?
確実な統計データは存在していないため、協力者への取材から実際に算出した収入分布は上記のような結果となりました。
割合 | 月収 |
---|---|
上位1% | 月収1000万円以上 小計売上で常に月1000万円以上 歌舞伎町やミナミでもかなりの少数。 他店舗のホストにも知られているクラス。 |
上位10% | 月収100万円~1000万円 小計売上で月数百万円 一般的なホストクラブのNO.1から幹部クラス。 |
上位10%~30% | 月収20万円~100万円 小計売上で月50万円以上 一般的なホストクラブの中心ホスト。 |
全体の70% | 月収20万円以下。 小計売上で月50万円以下 ほとんど喰えないレベル。 ホストが合わない、売上が上げられないとして、辞めていく層。 |
これらの数字は東京や大阪など大都市圏のホスト限定となります。
マーケットの小さい地方、つまり「お金持ちの少ない地域」では、月収で1000万円を超えるホストはほとんど存在していません。
また、全体の収入水準も地方ほど低下する傾向にあります。
月収1000万円以上、年収1億2000万円以上
ホストのトップが記録する数字で、パーセンテージーの都合上1%としましたが、割合としては1%も実際には存在していません。
太客のエース、準エースなど多数のラインナップを持つ、それなりの有名店のNO.1クラスが記録する収入。
小計売上で1000万円以上を毎月記録し、バースデー月で数千万円の売上が必要。
このクラスになると役職もそれなりの立場になるため、店全体の売上バックなど本人の売上以外からの収入があるケースも多い。
月収100万円から月収1000万円
割合としては上位1割。
だいたいの店舗ではこのクラスの売上でNO.1になれる。
エース、準エースを擁して、小計売上で数百万円を毎月売り上げるレベル。
このクラスになると幹部として役職がついている人がほとんど。
※エースとは、そのホストに一番売上で貢献しているお客。準エースは2番手。
月収20万円から月収100万円程度
小計売上で月に50万円~200万円程度。
割合としては上位2割から3割。
このクラスになると、それなりの収入となり相応の生活ができるようになる。
月収0円から月収20万円程度
日給保証があり、1日に6000円~8000円程度が支給され、月収で20万円弱。
ここから更に社会保険の支払いや雑費、諸経費などが差し引かれるため、手取りは10万円台前半。
罰金や回収ができない場合はマイナスになることも。
※社会保険は親の扶養や支払っていない人も多い。
全ホストの7割から8割はこの程度の収入しか得ることができない。
ここから売上を伸ばせない人は生活ができなくなり、自然に退職となる。
上記の動画でもトップメンバーが札束が立つほどの給料を得ている一方で、本日がラスト勤務となる紅さんの手取り給料は5000円でした。
経費も相当な金額に
トップクラスのホストなら数百万の月収、数千万の年収を得る事も珍しい事ではありませんが、その収入が全て自身のものになるわけではありません。
スーツ代や時計などの装飾品、毎日の美容院代、サポートしてくれている後輩達のご飯代などトップであるためのそれ相応の経費も必要になります。
回収業務
毎回現金で料金を支払うお客もいますが、ホストクラブでは「売り掛け」(※ツケ払い)で支払いをするお客も少なくありません。
そして売り掛けは担当のホストが回収する決まりになっているため、そのお客から期日までに支払いが無かった場合には代わりに担当ホストが支払わなければなりません。
ホスト用語で「飛ぶ」と言い、飛んだ場合には負債は全て請負い、給与から天引きされます。
給与よりも負債が多くなった場合は店への借金となり、翌月の給与から天引きされます。
飛ばれると一気に収入が無くなる恐れがあるため、締め日付近には確認の電話をかけたり訪問して回収に行く事が多くなります。
大金を支払える客はどんな人?
ホストに対して月に100万円、200万円という大金を支払えるのはどのような人なのか?
ヤリ手の女社長、あるいは有名な女性占い師が大金を支払うようなイメージを持っているかもしれませんが、実際にはそのほとんどがお水系・風俗系の若い女性です。
一般客は普通の職業の女性がほとんどですが、ホストの売上の大半を支える「エース」クラスになると、ほとんどがお水系の職業で働いています。
普通の仕事では、月に100万円単位でお金を稼ぐ事はできません。
ホストの世界は夜の職業、裏の職業の女性達で多くが構成されているのが実情です。
ホスト用語「育て」営業とは
一般職に就いている20代、30代女性が月に遣える金額はどんなに頑張っても20万円程度。
つまり、ホストの太客(大金を遣う客)の大半は風俗嬢やキャバクラ嬢で構成されています。
最初からそのようなお水系の仕事に就いている人もいますが、ホストと関わるようになってからそちらの道に進む人も数多くいます。
なぜか?
それは売上を増やしたいホストによる巧妙な誘導があるからです。
「応援してほしい」
「一緒にトップを目指そう」
「トップになったらその先にお前との、、」
など言葉巧みに恋愛感情を利用し、女性をより稼げる職業に導いていきます。
明確に「風俗に堕ちろ」とは言わずに、「トップになりたい。お前の力が必要だ!」と伝え、それに共感が得られれば自発的に女性は稼げる職業に転職するという仕組みになっています。
そのようにして導かれた客はホストクラブにより通い、大金を落としていくようになります。
怖い話ではありますが、これら一連の流れをホスト用語で「育て」と言います。
このような手法が一般化しており、この手法が確立しているからこそ月に数百万円を超える売上を叩くホストが成立しているのです。
厳しいホスト業界
上記の給与システムをからもわかるように、ある一定の期間(採用後3ヵ月程度)は猶予期間が設定されているため、売上が上がらなくてもそれなりの収入になりますが、それ以降に売上が立たなかった場合は薄給続きとなり生活は苦しくなります。
仮に新人10人がいたとしても3ヵ月後に何人か残っていれば良い方で、ほとんどの人は業界の厳しさに耐えきれずに辞めていくといいます。
ホストというのはお客との「心理ゲーム」のプレイヤーです。
ルックスが良いから、トークができるからという単純な理由だけで成功できるほど甘い世界ではありません。
お客の求めているものを見つけ出し、「どうすればそれを満たすことができるのか」を常に考えながら行動できる人間でないと成功することは難しいといいます。
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