様々な専門知識を持ったスペシャリストチーム。
金融・人材系の知識が強い。
2009年に日本アニメーター・演出協会、2015年に文化庁が業界団体(日本アニメーター・演出協会)に委託して集計を行われたデータをもとに、アニメーターの年収・収入状況を掲載しています。
※アニメーターとはアニメを製作するためのスタッフのこと(原画制作者・動画制作者など)
アニメーターの年収
平均年収:332.8万円
中央値:300万円
アニメーターの収入・就業状況
アニメーターの平均年収は332万円。中央値で300万円という結果になりました。
世界中で賞賛され、今や日本を代表する「文化」のひとつにまで成熟したアニメ産業ですが、そこで働くアニメーターの収入は一般の平均と比べるとなかなか厳しい状況のようです。
絵コンテ | 372.3万円 | 監督 | 648.6万円 |
演出 | 380.3万円 | 総作画監督 | 563.8万円 |
作画監督 | 393.3万円 | 原画 | 281.7万円 |
LOラフ原 | 234.1万円 | 第二原画 | 112.7万円 |
3DCGアニメーション | 383.9万円 | 動画チェック | 260.7万円 |
動画 | 111.3万円 | 色彩設計 | 333.5万円 |
仕上げ | 194.9万円 | キャラクターデザイン | 510.4万円 |
背景美術 | 341.6万円 | 版権 | 342.9万円 |
撮影 | 319.4万円 | プロデューサー | 542.0万円 |
制作進行 | 309.2万円 | その他 | 389.4万円 |
就業形態について
就業形態は正規の社員として雇用されているのは全体の16%程度。
一般的な業種と比べるとかなり低い水準です。
一番多いのはフリーランスで自営業と合わせると実に半数以上。
作品毎に契約し、仕事を請け負うケースが多いようです。
契約形態について
契約社員フリーランス、自営業と回答した中からその契約形態のアンケート。
1番多いのは年契約ですが、その割合は全体の中の35%程度。
アニメ作品ごとの作品契約やカット契約が多いのが特徴です。
必然的に不安定な就業状態になりやすくなっています。
平均作業時間と休日
1ヵ月あたりの作業時間の中央値は260時間。
350時間超が15.9%もありますが、単純計算で1日に12時間程度休みなしで働いている計算になり、起きている間はほとんど仕事をしていることになります。
休日については1ヵ月あたりに4回以下が50%以上と忙しい状況が通常のようです。
納期のある仕事である以上、作業時間の長期化や休日の少なさについては仕方のない事なのかも知れませんが、過酷な労働環境が伺えます。
人気職業でありながらなぜ低賃金なのか
1.小規模企業が多い。職業として人気がある故に低賃金でも人が集まる。
アニメーターは人気職業です。
そのため、たとえ小規模企業であろうと賃金度外視でも働きたいという人は後を絶ちません。
2.アジア各国でもアニメ製作が行われている。
アニメは日本だけでなく、アジア各地でも制作が行われています。
日本とは比べものにならないほどの人件費の安い海外に製作を依頼し、日本で放送するケースも少なくありません。
3.アニメ作品自体、大きな収入を期待できるものではない。
制作すればヒットが約束されているような「ディズニー」や「スタジオジブリ」などは別として、その他のアニメは製作したとしても必ず大きな収入が得られるわけではありません。
※ヒットすれば大きな収益が得られるが、ヒットしなかった場合は負債にしかならない。映画製作と似ている。
そのため、大きな資本でアニメを製作することは「リスク」となり、いかに小さな資本で良い作品を製作するかが重要になります。
小規模企業が多い理由もここにあるといいます。
アニメ産業の衰退の可能性も
若手の最初の仕事である「動画」の平均収入は111万円です。
現状の収入水準では有望な若手の育成が進まずに、アニメ産業の衰退が危惧されています。
大きな夢を実現する能力があったとしても、生活のできない環境ではどうしようもありません。
このような状況に対して、業界の有志が改善に動き出してはいるようですが、抜本的な構造改革が実現されない限りは現状を打破することは厳しいといいます。
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