
今回の投稿は「たまさん」30歳のブラック企業体験談です。
友人から、知り合いの知り合いに派遣会社で働いている人がいて
「期間限定の派遣業務があって、人が足りないので来てくれないか」
と言われたんだけど一緒に行かない?
という誘いに軽い気持ちで乗ってしまったのが事の始まりでした。
私はちょうど仕事を退職したばかりで、2週間ほどの期間限定ということで快くOKしました。
時給も1000円を超えていて条件としては悪くない条件でしたし、当時はまだ現在ほどに人手不足感は無くて、それほど簡単に仕事が見つかる時期でもなかったのです。
働き始めたけど、この違和感はなに?

早速、次の日から働き始めることになったので、私を誘ってくれた友人と一緒に現地に向かいました。
集合場所に行くと10人くらいの派遣スタッフとそれをまとめる派遣会社のリーダーが既に集まっていました。
一緒に参加している友人から業務内容は聞かされていなかったので、リーダーの方に仕事の内容を尋ねると、どうやらアパレル店舗の衣類搬入作業の様子。
「重いかもしれないけど、まあいけるでしょ!」
と軽い気持ちでみんなと徒歩で現場まで向かいました。
そして、現場に着くとアパレル店のスタッフは勢揃いして、既に作業に取りかかっています。
ただ、
アパレルスタッフ全員の服の色が「黒」
そして、働いている人の顔を見ると、どこかどんよりしているような。。
この時点では何もはっきりしたことはわかりませんでしたが、何か不気味な違和感を感じました。
違和感の正体は?

派遣リーダーから本日の作業説明を聞いているときに、その違和感の正体が判明しました。
「ボケ!コラー!さっさと動かんかい!」
素晴らしい声量で到着したばかりの私達の方に向かっていきなり怒鳴り散らすおじさん。
そう、このお店はヤクザ直系のお店だったのです。
企業舎弟とかそういうものなのかもしれませんが、とにかくオーナーらしき人物はその筋の方だというのは間違いないようです。
電話の会話の内容も
「カシラが事務所に来いゆうてるから、行ってこい」
「オヤジは今、病院で入院や」
「坂本のオジキに筋は通しといたから、話は通るやろ」
親父さんが病気なのかな?
坂本さんがオジキで筋をとおす?
意味不明な会話でしたが、ヤクザ用語を色々調べると
カシラ=若頭(組で2番目に偉い人)
オヤジ=組長
オジキ=杯をもらった親戚筋の人
との事で、その筋の方だと思ってはいましたが、その思いは確信に変わりました。
ヤクザオーナーは般若のような素晴らしい顔立ちをされていて、顔面凶器という形容詞がぴったりのお方でした。
やはり、修羅場をくぐってくるとお顔も凛々しくなっていくのでしょう。
ヤクザは怒鳴るし、頭もおかしい

ヤクザオーナーはあらゆるタイミング、あらゆる場所で、とにかく怒鳴り散らします。
マグロは泳ぎを止めると死んでしまうそうですが、彼も怒鳴らないと「死んでしまう」のかもしれません。
その取り巻きのスタッフも香ばしい方ばかりで、彼らも本職か準構成員という奴だったのでしょうか、、
作業中、商品に値札の取り付けをしている時に
おい!これ一つ10秒でつけるやろ。
そしたらここに100着の服があるから1000秒かかかるんじゃ!
そうやって考えていけ!
彼の言っている事は単純な計算しているだけで、その計算をしても何かが変わるわけでも、早く終わるわけではありません。
彼は何を言っているの?
とスタッフ全員で思ったはずでしたが、我々派遣スタッフには優秀な人が多かったので、全員が今求められているものを正確に理解し
「さすが、●●さん。そういう考え方があるのですね!」
というような満額回答の感心顔をして、そのヤクザスタッフのアホ攻撃をやり過ごしました。
派遣スタッフの中には京都大学など名門大学の学生スタッフもいて、空気を読む能力が高くてとても優秀でした。
ただ、そのような圧力のおかげか、結果としては全員がテキパキと働き、まるで自衛隊のようでした。
お店自体もとても繁盛していて売上もかなりの数字になっていたようです。
派遣先のリーダー壊れる

ヤクザのお店といえども一応、休憩は認められていて、リーダーは派遣スタッフ全員を休憩に行かせた後に一人で休憩をとるようになっていました。
一連の流れで、私達が休憩した後に派遣先のリーダーが木陰で休んでいたのですが、そこをヤクザオーナーに運悪く見つかってしまいました。
するとヤクザオーナーは
「★x☆◇∮□じゃー、ボケコラー!」
と日本語には聞えない罵声でリーダーを罵り出しました。
私は驚きました。
「休憩を取っているだけなのにどやされている、、」と
アホほど怒鳴られたリーダーは休憩もろくにしていないのに全力ダッシュで現場に戻ります。
運動が苦手なリーダーがあれほどのスピードで走るところを見たことはありません。
聞けば、リーダーは山口の田舎からボストンバックひとつで大都会大阪に引っ越してきたそうです。
半分泣きそうになっていたのを私は見逃しませんでしたが、彼のつらさは痛いほどわかります。ガンバレリーダー。
ただ、あまりに怒鳴られ過ぎたのか、そこから派遣先のリーダーが壊れ始めました。
なんと、私達に向かって怒鳴り始めたのです。
「はよせんかー」
「ボケコラ!そっちやゆーてるやろー」
何かが彼の中で弾けてしまったのでしょうか。
私達はヤクザオーナーと壊れかけのリーダーの二人に怒鳴られる状態に。
ヤクザオーナーはヤクザの看板があってこそ成立していますが、看板の無いリーダーは仕事が終わると全員に嫌われた挙げ句、しばらくしてその派遣会社を退職せざるを得なくなり、最終的には山口にボストンバックを持って帰っていったそうです。
ありがとうリーダー。
ヤクザの服屋で働いた。そして導き出した結論
ヤクザはヤバイが、それはそれで仕事は一生懸命やるということ。
お金の上納が厳しいのか、皆さんヤクザながらにとても一生懸命働いていました。
後、働いている人に金髪が多かったのですが、何というか染め方が汚い人が多かった印象があります。
汚い染め方をしている人は注意した方が良いです。これは間違いない。
危ない環境にいる人は、最終的に全員危なくなる意味がわかりました。
怒鳴り声が常にある環境は確実に人を消耗させます。
やっぱり、意見が通じない環境、上から問答無用の命令が来ると人間というのは思考が停止してしまうのかもしれません。
全員とは言いませんが、多くのスタッフがハ虫類のような顔の表情をしていました。
働いて導き出した結論は
「環境がおかしいとどうにもならない。ブラックな職場はさっさと辞めよう」
でした。
みなさんもお気をつけて。